【2020年法制化】相続登記の義務化

法務省は2020年秋にも想定される臨時国会に、民法や不動産登記法の改正案の提出をめざすと公表していましたが、原案の内容が明らかになりました。

所有者が不明な土地の現状

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現在、所有者不明土地は16年時点で全国に410万ヘクタールあるとされ、九州本島の面積約370万ヘクタールを上回ります。

地方にあり資産価値が低い不動産などは親から引き継いでも名義を変えずに放置する人がおり、登記費用や固定資産税などの支払いを嫌がって登記を怠る例もあります。

相続登記する際はすべての相続人を挙げて申請する必要があり、被相続人の出生から死亡までの戸籍の提出を求めるなど煩雑な手続きが必要です。

相続登記しないことで所有者が困ること

  • 家を売却したくても契約書を作成できない。
  • 家を担保に借金するときに銀行が応じてくれない。
  • 法定相続人の数が次第に増えて遺産分割協議が困難に。
  • 相続登記では遺産分割協議書の添付が必要になります。全ての法定相続人が遺産の分け方を話し合って署名し、実印を押すという大変な手間です。
    年月がたてば親族の範囲が広がって法定相続人の数が増えるのが通常です。そうなれば面識さえない相続人だらけという状況になり、協議書を作るのは難しくなります。自分の世代はまだしも、子や孫の世代になると話し合いは困難になります。

  • 隣地の所有者が土地の境界確定を求めてきたとき登記名義が故人のままでは直ちには応じられない。

所有者不明土地対策の原案

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法制審議会が年内にまとめる所有者不明土地対策の原案では、不動産を相続する人が誰なのかをはっきりさせるため、被相続人が亡くなった際に相続登記の申請を義務付けます。手続きを簡素化する代わりに、一定期間のうちに登記しなければ罰則を設けることを検討しています。

新制度では被相続人の死亡を証明する書類があり、自分が相続人の一人だと証明できれば相続人全員がそろわなくても簡易的に登記できるようにします。

現在は法的な期限はありませんが、法制審の原案には遺産分割を協議できる期限を「10年」と定めることも盛り込んでいます。相続開始から10年で協議や申し立てがなければ法定相続分に従って分割可能にします。
 

土地所有権の放棄も可能に

現行の民法では土地の所有権の放棄を認めていません。放棄を認めてしまえば課税逃れや管理費用を国に転嫁しようというモラルハザードを招きかねないためです。

原案では「所有を巡って争いが起こっておらず、管理も容易にできる」のを条件に、所有権の放棄を可能にすると明記しています。放棄された土地はいったん国に帰属させ、地方自治体が希望すれば取得できる仕組みにして再開発など土地の有効活用につなげる方向です。しかし、法人による放棄は引き続き認めない方向です。

罰則規定は

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一定期間のうちに登記しなければ罰則を科される意向です。登記を怠った相続人への罰金では「10万円以下」や「5万円以下」といった案が検討されています。